セミナー「法曹養成制度改革推進会議の決定を読み解く―法科大学院と法曹の未来をどう切り開くか―」の開催
日 時 平成27年7月23日(木)午後6時?午後8時
場 所 大手町サンスカイルーム27階B会議室
(東京都千代田区大手町2−6−1 朝日生命大手町ビル)
当会主催のセミナー、「法曹養成制度改革推進会議の決定を読み解く―法科大学院と法曹の未来をどう切り開くか―」を開催しました。
(同セミナーは月刊The Lawyer 2015年9月号(第12巻第9号)にて特集されました。)
平成27年6月30日、法曹養成制度改革推進会議が、当会等の意見を取り入れた形で決定を出しました(以下「本決定」という。)。しかし、本決定は、一般向けとしては難解な文章であり、これを読み解くという作業をしなければ広く一般には理解しがたいのではないかと考え、本セミナーを開催しました。
報告者@ 竹重勇輝(当会事務局、弁護士)
まず、当会事務局の竹重勇樹から、本決定に至る経緯とその概要についての報告を行いました。
報告者A 岡田和樹(当会副代表理事、弁護士(フレッシュフィールズブルックハウスデリンガー法律事務所))
次に、当会副代表理事の岡田和樹が、当会としての本決定の受け止め方についての報告を行いました。本決定は、根本的な理念としては、これまで行ってきた改革の方向性は正しかった、法科大学院を法曹養成制度の中核として位置づける、修了者の7割は合格しなければならない、という3点を踏まえているものであると述べました。
もっとも、本決定では、司法試験の在り方についてはメスが入っておらず、法科大学院教育と有機的に連携した、すなわち、ロースクールで勉強して、修了すれば原則として合格する、といった司法試験の在り方を追求していくべきだとの提案を行いました。
報告者B 小早川光郎(成蹊大学法科大学院法務研究科長)
成蹊大学法科大学院法務研究科長の小早川光郎氏から、法科大学院としての本決定の受け止め方についてお話がありました。
法科大学院としては、司法試験合格率のほか、入試競争倍率の確保と定員充足率という2つのことを要求されており、 多様性をもった法律専門職の集団が、法科大学院を通してある程度の規模で世の中に送り出されることが重要であり、司法試験合格力をつけさせることだけが法科大学院における教育の質の向上ではない、とのご指摘をされました。
報告者C 齋藤弘憲(経済同友会政策調査部長)
経済同友会政策調査部長の齋藤弘憲氏から、経済界としての本決定の受け止め方についてお話がありました。
経済界としては、7割以上の合格率を出していくという点については目指してきた方向だと思うが、合格者数が3000人から1500人に減ることについては残念だと述べました。その中で、政策や制度というものは、PDCA(plan-do-check-action)を回していくことが重要であり、本決定も、本来目指すべき姿を忘れずに改革を進めて欲しいとの意見を述べました。
また、経済界としては、法曹有資格者が様々な分野に進出して、ビジネスパーソンの中でもリーガルマインドを持った人が増えてくることに期待しており、そのために、新卒者が早期に社会に出ることができるような資格取得期間の短縮化も必要なのではないかとの提案を行いました。
報告者D 沢辺隆雄(産経新聞論説副委員長)
産経新聞論説副委員長の沢辺隆雄氏から、マスコミとしての本決定の受け止め方についてお話がありました。
新聞各社としては、法科大学院を中核とした法曹養成制度については賛同するものの、現実には狙い通りになっていないのではないか、という共通見解を持っているとの指摘がありました。
その中で、日本の法科大学院を反面教師にして成功した韓国の法科大学院制度を引き合いに出しながら、日本の法科大学院も各校でカリキュラムに特徴をもたせたほうがよいのではないかとの提案を行いました。また、司法試験の内容が変わっていない点についても問題があるのではないかと疑問を呈されました。
マスコミとしては、法曹界の活躍の場を広げるうえで、法曹界の側から、具体例を示して法曹資格を持てばこんな活躍の場があるということを示してもらえれば、できるだけ紹介していきたいと述べました。 |