2014年7月10日 「日本の司法の未来を語る鼎談−政界と経済界は法曹に何を期待するか」の開催 場 所 大手町サンスカイルーム 当会主催の第1回講演として、「日本の司法の未来を語る鼎談−政界と経済界は法曹に何を期待するか」を開催しました。 スピーカーとして、経済界からは、中村芳夫氏(日本経済団体連合会 顧問・参与(前 副会長・事務総長))、政界からは、三宅伸吾氏(参議院議員・自由民主党)をお招きし、当会の代表理事である久保利英明がモデレーターを務め、政界・経済界・法曹界を代表する3氏によって、日本の司法の現状の問題点と、未来のあるべき姿について、熱く語られました。 まず、久保利から、法科大学院はなぜ批判されているか、ということについて現状と問題点を報告しました。合格率が20%台にとどまっている現状、高い学費、予備試験の問題などについて指摘がありました。 このように、法科大学院は、本来あるべき姿との乖離が見られることも事実ですが、法科大学院教育が理想とするところは、従来の法廷弁護士ばかりではなく、「市民に寄り添う弁護士」や「国際的に活躍する弁護士」など、多様な人材を法曹界に送りこむところにあったはずです。 三宅先生も、弁護士は「社会生活上の医師」であるとおっしゃり、法曹の役割は、「法の支配の浸透」にある、とおっしゃりました。そして、現在の法曹養成制度の問題点として、司法試験の合格率の低さについて指摘されるとともに、適切な法曹人口は、市場原理によって決定するべきとのお考えを示されました。 次に、法曹の「質」の議論に移りました。法曹の「質」と言うと、司法試験の点数や年収の低下などを根拠に法科大学院教育に批判の目が向けられることがありますが、3氏とも、そのような考え方には否定的でした。 以上のような3氏の一致した見解のもと、結局のところ、市民のニーズにあった、法の支配の浸透に寄与する法曹を多く輩出するためには、司法試験を易しくし、法曹資格を「重くはないもの」にすることが重要であるとの結論で一致しました。 最後に、ご出席いただいた方からも、何名かご発言があり、活発な議論がありました。ご発言者の中には、長年社会人経験をされた後、法科大学院に進学し、法曹になられた方もおられ、ご自身の経験を通じ、法科大学院教育は、双方向の授業など、学部教育に比べ格段に優れているとのご意見が出されました。 このように、本鼎談は、盛況のうちに閉会いたしました。出席者の皆様の反応も好評で、特に若手弁護士や法科大学院修了生からは、今後の自分の法曹としての進むべき途を考えるにあたって、大変多くの示唆を得たといった感想が聞かれました。
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